カルテ開示でのトラブルと対策

病院では患者に関する情報を記録するため、カルテを管理しています。このカルテは個人情報としての性格が強いものであり、院内で厳重に管理されています。一方で病院には、カルテの開示義務が課せられています。これは、本人の同意があればカルテを開示しなければならないという、法に基づく規則です。そのため請求に応じ、いつでもカルテを開示できる準備を整える必要があります。ただし、トラブルとなりやすいのはカルテの開示手続きです。開示義務はあっても、どのように開示する必要があるかの法的な取り決めはありません。そのため、各医療施設により請求手続きの方法や開示費用には大きな違いがあります。その結果、カルテ開示について患者との間にトラブルが生じる事例も多いです。

もし話し合いで解決できないとすれば、弁護士を交えての法廷闘争に発展する可能性もあります。そこでカルテ開示に関する手続き内容について、事前に患者がよく理解できるよう情報公開するのが効果的です。患者自身が、カルテ開示のためにあらかじめどのような手続きを行うかをよく分かっていれば、トラブルは確実に減らせます。さらに情報公開に先立ち、病院ではどのようにカルテを開示するかルールを厳密に定める必要があります。カルテの開示請求に関して起こりうる事態を想定し、手続きや対応方法のマニュアルを作成しておけば、患者との人間関係の悪化や弁護士が関わる法的な問題への発展が避けられます。